皆さん、こんにちは。L歯科クリニックです。
今回のテーマは、前回に引き続き、象牙質知覚過敏についてお話したいと思います。
前回のおさらいを少ししましょう。
象牙質知覚過敏症とは、神経が生きている生活歯に何らかの原因で象牙質の露出をきたした場合、歯ブラシの毛先が当たったり、冷たい物を食べたりした際の刺激による知覚の亢進を主な症状とする硬組織疾患のことでした。歯の表面にあるエナメル質は神経がないため、特に痛みは感じません。しかし、そのすぐ下にある象牙質は、象牙細管という管に歯髄から伸びてきた神経が入り込んでいるため、歯の表面になんらかの刺激が加わると、神経に刺激が伝わり、痛みを感じます。しかし、むし歯とは違って、一過性の痛みであり、痛みを感じてからおよそ1分以内に症状が消失するということが特徴でした。
象牙質知覚過敏が起こる原因として、1.歯肉の退縮、2.歯のすり減り(咬耗、摩耗)、3.歯が溶ける、4.破折、5.むし歯の治療、6.ホワイトニング、がありました。他にも原因となることはありますが、多くはこの6つに入るのではないかと思います。
1.歯肉の退縮は、加齢や歯周病が原因で歯肉が下がってしまうことに起因していました。歯肉が下がると歯の根の部分は象牙質でできているため、そのまま象牙質が露出していることとなり、直に刺激を受けてしまいます。当然、神経が入り込んでいる組織のため、刺激が加わると痛みを感じます。
2.歯のすり減りは、加齢による歯のすり減りのほか、歯ぎしりや食いしばりによる歯の削れ(それを咬耗といいます)、さらには歯ブラシで磨く際の力加減が強いことによります。ブラッシング圧は200gを超えない範囲で磨くことを推奨しており、ぎゅっと歯ブラシをもって磨くのではなく、鉛筆持ちをし、磨く力が強く伝達しないように気を付ける必要があります。長期に渡り力強く磨いていると、歯と歯肉の境目(歯頚部という)にくさび状の欠損ができるため、象牙質が露出します。そのため、外部からの刺激により一過性の痛みを感じるようになるのです。
ここまでが、前回のおさらいです。
続いて、象牙質知覚過敏症が起こる原因の3つ目から説明します。
3.歯が溶けるは、文字の通り歯が溶けていくことによって象牙質が露出し、外部からの刺激を受けやすくなるのが原因と考えられています。少し前にエナメル質の臨pHは5.5であると説明したと思います。食べ物を食べてプラーク細菌が酸を産生すると、臨界pHと言って歯が溶け始める酸性度を越えてしまいます。従ってむし歯になっていくのですが、知覚過敏の場合は、どちらかというと酸性の飲み物や食べ物を高頻度で摂取することが原因と考えられています。例えば、コーラ。コーラはpH2.2とかなり低い、酸性度の高い飲み物です。レモンなどもそうです。酸性のすっぱい果物はpHが低いと考えた方が良いと思います。この様な酸性度が高い飲み物や食べ物を、常日頃から摂取していては、やはり歯の表面が溶けてきてしまいます。必ず食べたり飲んだりした後は、お水でゆすぐことを忘れてはいけません。その他、食べ物や飲み物だけではなく、頻繁に嘔吐する人も歯が溶けることで知覚過敏が起きやすくなります。胃酸は強酸性のため、pHは1~2です。摂食障害がある方は歯の内側が度重なる嘔吐によって溶けていることがあります。
4.歯の破折は、エナメル質を超えて象牙質が露出するような歯の破折、欠けがある場合に起こることがあります。むし歯とは違い、物理的に歯が欠けることで刺激が伝わり痛みを発します。
5.むし歯の治療に伴って、知覚過敏が生じることがあります。むし歯を除去する際には、ほとんどの場合でエアタービンという超高速切削器具を用います。歯髄の炎症を引き起こさないように注水下(水を出しながら削る)で歯を削っています。高速回転で歯を削る際、必ず熱が発生します。この高温と削る際の刺激によって歯髄の炎症を引き起こしてしまうので、水を出しながら、冷やしながら歯を削っています。それでもやはり、歯を削ることは刺激になるため、知覚の亢進を招くことがあります。
6.ホワイトニングでは、薬剤を用いて歯を白くしています。その際に使われる薬剤には様々ありますが、主なものに過酸化水素というものを使います。これは、歯の表面をザラザラに脱灰するだけの力を持ち、pHは4.5です。とても強い薬剤を用いているため、その刺激によって知覚過敏を引き起こす場合があります。
知覚過敏が起こった場合、まずは侵襲性の少ない治療から始めます。侵襲性というのは、治療によって物理的に歯を削ったりすることです。最初はしみ止めの薬剤を用いた治療を行います。その後、今まで説明してきた知覚過敏が起きた原因を考え、それに合わせた治療に移ります。くさび状に歯が削れている場合は、コンポジットレジン修復を行い、くさびを埋めていきます。歯ぎしりや食いしばりが原因であれば、マウスピースを用います。また酸性度の強い食べ物や飲み物、また磨き方など生活習慣から見直し、指導させていただきます。知覚過敏用の歯磨き粉(例えば、シュミテクト)を日常的に使うこともオススメです。このように、知覚過敏になる原因が患者様によって異なりますので、1人1人に合わせた治療をすることが重要だと考えます。是非、知覚過敏が気になる方は、L歯科クリニックにご相談ください。
L歯科クリニック 歯科医師 副島寛貴