お餅には気を付けて|石神井公園駅徒歩1分の歯医者|L歯科クリニック|平日20時30分まで土日も診療

歯科医療コラム

お餅には気を付けて

制作事例_01

皆さん、こんにちは。L歯科クリニックです。

前回は年末の歯科に関するあるあるというテーマでお話しましたが、今回も引き続き年末のお話になります。年末年始と歯科医院がお休みしていることも多いですが、トラブルもとても多い時期です。少しでも、安全に安心して楽しい年末年始を過ごしていただくきっかけになれば嬉しいです。

 

年末のトラブルについては、前回触れました。どうしても忙しくなる季節ですから、体調面も心配です。忘年会に出かけ、クリスマスの準備をして、年末には家の大掃除。さらにちょっと疲れてきたと思ったら、今度はお正月がやってきます。今年はとても寒い冬だそうで、疲れや食べすぎから風邪を引きやすいです。免疫力だって、やっぱり下がってきます。そうなると、いつもはしっかり磨いていた口腔内も少しずつおろそかになって、歯肉が腫れてしまう方も少なくありません。こういう忙し時に限って、詰め物が取れたり、歯が痛くなったりするものです。また年末だし、「今年の汚れは今年のうちに」ではありませんが、一度きれいにクリーニングを受けて、今年ずっと溜めてきた歯石も除去して新年を迎えたいという方もいるかもしれません。色々と口腔内に体の影響が出てきますので、トラブルも多い時期になります。

制作事例_01

トラブルは年末だけではありません。特に、年始、お正月は気を付けなくてはならないことがあります。

それは「お餅」です。お正月にはどの家庭でもお雑煮やつき立てのお餅を食べる習慣があるのではないでしょうか。ただ、やわらかいお餅も時には気を付けて食べないと大変なことになります。年始では必ず、お餅が喉に詰まって亡くなったというニュースが流れてくるほどです。

消費者庁は、お餅による窒息事故が年始にかけて多くなると注意喚起を行っています。令和2年の厚生労働省の報告では、「不慮の事故」のによる死因のうち食べ物が原因となった窒息による65歳以上の高齢者死亡者数は、年間3,500人以上いるそうです。中でも80歳以上は2,500人以上です。特に、お餅による窒息死亡事故の43%は、1月に集中しており、特にお正月の三が日が多いことが報告されています。もちろんその年によって差があるとは思いますが、お正月の窒息事故は毎年おおよそ300人程度だそうです。また、その約70%は男性が占めており、女性は30%ほど。女性より2.6倍男性の死亡者数が多いことも分かっています。

制作事例_01

特に高齢者に多いお餅による窒息事故ですが、なぜ高齢者に多いのでしょうか。

1.歯や口腔の機能が衰えることで、噛む力が弱くなっていること

2.唾液の量が減少することで、食べた物がスムーズに飲み込みにくくなること

3.飲み込みの力が弱くなること

4.反射が低下していること

高齢者の口腔内の特徴を考えると、高齢になればなるほどリスクが高まることが分かります。お餅はとても軟らかいですが、粘着性が強いのでスパッと噛み切るのが難しい食べ物です。そうなると、噛む力が弱い高齢の方は、お餅を小さく噛み砕くことが難しくなります。さらに唾液の分泌量が減ることで、口腔内のうるおいが減っている所に、粘着性の高いお餅がくっついてしまう。お口の中や喉でくっついてしまったお餅を飲み込む筋力がないと、喉の奥に留まってしまい、窒息が起こるのです。若い人や筋力のある方は、喉にお餅が万が一留まってしまっても、咳をしてむせたり、吐き出したりする反射がすぐに現れます。しかし、高齢者は反射の力も衰えていることが多いので、詰まってしまっても咳の反射が起きないのです。

 

ここでお餅を食べるときに注意するべきことを挙げておきます。普段からお餅を食べている方は、食べ慣れているかもしれませんが、お正月しかお餅を食べない人も多いと思います。まず、事故が起きないように注意することが重要です。

1.お餅の大きさは、小さく切って、食べやすい形にする

2.お餅を食べる前に、汁物やお茶などで口腔内を潤してから食べる

3.大きく一口で頬張らない

4.ゆっくりとよく噛んでから飲み込む

5.高齢者や小さなお子さんがいる家庭では、食べている時に回りの人がよく注意して見る

 

もし万が一、詰まってしまったとしても、上記の5つを注意しておけば、対応しやすいと思います。また、詰まった人がいても、慌ててはいけません。気道にお餅が詰まってしまった場合の対処法は日本医師会の救急蘇生法に書いてありますので、よく読んでおくといいでしょう。119番への通報はもちろんですが、「背部叩打法」と「腹部突き上げ法」があります。まずは異物(お餅)の除去をしないといけないのです。

制作事例_01

高齢者の場合は、お餅と一緒に義歯(入れ歯)を飲み込んでしまうこともあります。バネが付いた入れ歯は引っ掛かってしまうことが多いです。定期的に歯科医院で義歯のチェックを行っていない人は、緩んでいることもあります。お餅の粘着性により、偶発的に入れ歯も飲み込んでしまうのです。それもぜひ、お餅を食べる時には心にとめてお正月を楽しくお過ごしください。このような悲しい事故が起きないように、高齢者や小さなお子さんがお餅を食べるときには、周りの人がよく注意して見守ってあげることが重要です。何か少しでも気になることがあれば、ぜひL歯科クリニックにご相談ください。

 

本年も患者様をはじめ、皆様の温かいご支援に支えていただきました。

この場をおかりしまして、厚く御礼申し上げます。

2025年もスタッフ一同、より一層、皆様のお役に立てますよう精進してまいります。

皆様も、どうぞよいお年をお迎えください。

 

参考)

https://www.med.or.jp/99/kido.html

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20181227/

 

                            

L歯科クリニック 院長 副島寛貴

一覧へ戻る

  • 電話をかける