プラークとは?|石神井公園駅徒歩1分の歯医者|L歯科クリニック|平日20時30分まで土日も診療

歯科医療コラム

プラークとは?

制作事例_01

皆さん、こんにちは。L歯科クリニックです。

今回はプラークについてお話します。以前のコラムでも何回か出てきているこの「プラーク」、皆さんどんなものかご存じでしょうか。

 

歯科医院で治療や検診、クリーニングなどを受けたとき、歯科医師あるいは歯科衛生士さんから、プラークがついてますねと言われたことありませんか?歯の表面に付着している白い汚れのことです。

 

十分に清掃されていない歯および補綴装置(ほてつそうち:被せ物とか入れ歯などのこと)の表面に形成される柔らかい非石灰化性の沈着物

 

と、されています。分かりやすくするために、よくご飯を食べた後の食べカスと説明されることが多いかもしれません。これ、厳密に言えばちょっと間違っています。もちろん、ご飯の残りカスも含まれているのですが、それだけではなく、主にプラークはそのカスを栄養素とした細菌の集まり。すなわち、細菌の塊が歯の表面についているのです。考えるだけでも気持ち悪いと思いますが、プラークはお口をゆすいだだけでは落ちません。ネバネバとした粘着性のある物質のため、歯の表面にしっかりと密着しています。

従って、歯ブラシで物理的に磨き落としていく必要があるのです。

制作事例_01

難しくなるかもしれませんが、もう少し詳しく見てみましょう。先ほど、プラークは食べカスも含めた細菌の塊だと言いました。そのプラークは、実は細菌と食べカスだけで構成されているわけではないのです。複雑な三次元構造(バイオフィルム)という形を形成している物質なのです。当然、食べカスや細菌も含まれますが、その他に細菌が産生した物、唾液、歯肉溝滲出液(しにくこうしんしゅつえき)、剥離上皮(はくりじょうひ)と様々なもので構成されています。

 

では、そのプラークはどのように歯の表面につくのでしょうか。きれいに磨いた歯の表面はツルツルとして、汚れが付きそうにありません。しかし、歯の表面はどんなにきれいに清掃しても、すぐに唾液に由来する成分(糖タンパク質)によって「ペリクル」という膜に覆われます。実は皆さんの歯の表面は、歯磨きの後すぐにタンパク質の膜で覆われていたのです。「ペリクル」は、細胞などは含まない無細胞性の有機被膜であり、唾液由来の糖タンパク質であることが分かっています。そのペリクルに細菌が付着して、細菌同士が集まり、細菌の産生物によって三次元的構造のバイオフィルムという塊を形成していきます。

制作事例_01

唾液には、様々な役割を持ったタンパク質成分がたくさん含まれています。抗菌性があるものや流れを良くするもの、歯の表面を再石灰化させるものなどです。「ペリクル」は唾液由来の糖タンパク質でできているので、エナメル質(歯の表面)の保護の役割を果たします。さらに、歯の表面を覆うペリクルは細菌が歯の表面に付着するのを手助けする足場となることも分かっています。

 

歯の表面に付着した細菌は、細菌同士が集まって(共凝集)、コロニーという塊を形成します。さらにそのコロニーに細菌が集まってきて、厚みをました構造体になります。段々と塊が大きくなってくると、食べカス(ショ糖)からグルカンとフルクタンという多糖が形成されます。この多糖は集まった細菌の隙間を埋めていき、最終的にはバイオフィルムという大きな塊ができあがります。集まっている細菌はこの当分を栄養素とし、酸を産生するため、歯が溶けてしまい、むし歯ができるのです。

 

プラークのほとんどは水分です。約70~80%が水分とされています。しかし、残りの20~30%は固形成分で、そのうちのほとんどが細菌です。プラーク1㎎中に細菌は1億個以上存在します。多い報告だと10億、あるいは1000億個も細菌が確認されています。1㎎と言ってもどのくらいか想像しにくいですが、耳かき1杯もありません。そんな微量なプラークには1億を超える細菌がいるのです。トイレ掃除用のブラシには約8000万~23億個の細菌がいると言われています。歯を磨かずプラークがたくさんついたお口の中では、もしかしたらトイレのブラシよりも細菌数が多いかもしれません。

制作事例_01

そもそもお口の中には常在菌といって、普段から私たちのお口の中に細菌が存在しています。ただ、むし歯や歯周病の原因になる細菌もたくさんいます。それだけではなく、最近では、その常在菌が体内に入り込み、体の臓器に付着し、増殖すると「感染」につながることが指摘されています。誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)や感染性心内膜炎(しんないまくえん)など、全身の健康に影響を及ぼします。お口というのは消化管の入り口です。お口をきれいな状態に保っていれば、細菌が爆発的に増えることなく、感染のリスクも抑えることができるのです。普段の歯磨きに加えて、定期的に歯科医院で口腔ケアをすることをお勧めします。ぜひL歯科クリニックで今のお口の状態をチェックしてみませんか。

参考文献)

①高橋幸裕、才木桂太郎、田代有美子 口腔常在菌と全身疾患 Neuroinfection 25 巻号(2020:4)

②特定非営利活動法人 日本歯周病学会編 歯周病と全身の健康

 

L歯科クリニック 歯科医師 副島寛貴

一覧へ戻る

  • 電話をかける