歯磨きについて|石神井公園駅徒歩1分の歯医者|L歯科クリニック|平日20時30分まで土日も診療

歯科医療コラム

歯磨きについて

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こんにちは。L歯科クリニックです。

これから定期的に、歯科の基本や口腔ケア、歯科と全身の関係性、最近話題の話など、様々なトピックスについて皆さんにお話していこうと思っています。

今回は「歯磨きの回数」についてです。

皆さんは、1日に何回歯磨きをしていますか?朝と晩の2回か、もしくは3回磨く人が多いのではないでしょうか。歯科医院では「1日3回磨いてね」と言われることが多いかもしれません。歯磨きは口腔の健康を維持し、自分で行う基本的なセルフケア行動の1つと考えられています。プラーク(食べカスを栄養源として集まってきた細菌とその代謝産物の塊)を除去しないと口腔の健康を維持することができないのです。従って、1日3食として、食後は必ず磨いてください、1日3回磨いてくださいね、となるわけです。プラークのお話はまた別の機会にお話しします。

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あまりご存じの方はいらっしゃらないかもしれませんが、5年に1度、厚生労働省では歯科疾患実態調査を行っています。「わが国の歯科保健状況を把握し、8020運動の種々の対策の効果についての検討等、今後の歯科保健医療対策を推進するための次期の目標設定に必要な基礎資料を得ることを目的とする」と定めています。今回のテーマである歯磨きの回数や、虫歯の本数や歯周病に罹患(リカン)している人数、歯科検診受診の有無、フッ化物応用の有無など、様々な項目について調査しています。国民の口腔の健康に対して、国も真剣に取り組もうとしているということです。口腔の健康が全身に及ぼす影響はとても多く、重要であることが最近分かってきているからかもしれません。

 

最新の令和4年度(2022年)の歯科疾患実態調査の結果を見てみますと、歯磨きの回数は、1日に2回歯磨きをする人が50.8%でした。さらに1日に3回以上磨く人は28.4%です。従って、2回以上磨いている人が全体の79.2%いることになります。約80%の国民が1日に2回以上は磨いているという素晴らしい結果であると言えます。確かに、歯科医院で毎日何回くらい歯を磨いていますか?と患者さんに聞いてみると、多くの方は2回と回答されます。3回という方も中にはいます。逆に、1日1回しか磨かないという人はあまりいない印象です。

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では、実際には1日何回歯を磨くのが良いのでしょうか。

その答えは、実は正確には決まっていないのです。

 

1995年にスウェーデンにあるイエテボリ大学のDowen Birkhed教授(現在イエテボリ大学名誉教授)が発表した論文で、イエテボリ・テクニックという歯磨き方法が提唱されました。大まかにイエテボリ・テクニックを紹介すると、以下の通りです。

1.歯ブラシに2㎝の歯磨剤をつける

2.フッ化物配合歯磨剤を歯の面全体に塗り広げる

3.2分間歯を磨く

4.10mlの水を含み(ペットボトルキャップ1杯分程度)

5.30秒間そのまま懸濁液で洗口する

6.含んでいた水を吐き出す(その後、水でゆすがない)

7.2時間は飲食をしない

 

これを1日2回実施します。私たちが学校や家庭、歯科医院で教わってきた歯磨き方法と随分違うなと思いませんか?要は、むし歯の予防をするには、高濃度のフッ化物配合歯磨剤を使って、高い濃度でフッ化物を口腔内に維持するというのがポイントだということなのです。これを「2+2+2+2」ルールというそうです。つまり、1日2回、2㎝のフッ化物配合歯磨剤をつけ、2分間磨き、その後は2時間飲食しない、です。スウェーデン以外の海外の国でも、ほとんどの国ではむし歯予防対策として、フッ化物配合歯磨剤を使って1日2回歯磨きをすると指導するようです。磨く回数に関しては、2016年のシステマティックレビュー(ある課題に関連する論文を徹底的に読み論じるもの、今回は歯磨きについて)を見ると、歯磨きの回数は多い方がよりむし歯予防には良いが、1日2回と3回で比べた場合は、差がありませんでした。ということは、1日2回でも3回でも良いということになります。前に述べたように、絶対1日何回歯磨きをしないといけない、という決まりは正確にはないのです。

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ただし、1つ気になることがあります。

イエテボリ・テクニックでの調査は未就学児を対象にむし歯予防を考えて提唱されたものであるということです。確かに大人でもむし歯になりますから、むし歯予防を徹底的に行うことは必要です。しかし、大人は歯周病も怖い。歯周病で歯を失わないようにするのも大人には重要。歯を磨くというのは、決してむし歯予防だけの為ではありません。歯周病、口臭、誤嚥性肺炎など様々な病気を予防する為でもあります。歯周病予防では歯磨き後48時間経過すると悪化することが分かっています。

 

まとめますと、歯磨きの回数は、1日に2回もしくは3回を推奨します。むし歯の予防なら、イエテボリ・テクニックを参考にしてみるのも良いかと思います。フッ化物配合歯磨剤は歯周病に効果があるわけではありません。しかし、歯周病のケアでも歯磨きから48時間空けず、プラークを落とすということに着目すれば、同じような歯磨きテクニックで歯肉の状態も維持できるのではないでしょうか。

また、今回は触れていませんが、磨き方(歯ブラシの当て方)も重要なポイントです。それぞれに合った磨き方や回数がありますので、ぜひL歯科クリニックでご相談ください。お口の健康を保てるように一緒に頑張りましょう。 

L歯科クリニック 歯科医師 副島寛貴

参考)

①厚生労働省 令和4年歯科疾患実態調査結果の概要

②Effect of a modified toothpaste technique on approximal caries in preschool children
Sjögren K, Birkhed D, Rangmar B.
Caries Res. 1995;29(6):435-41. 

③Kumar S, Tadakamadla J, Johnson NW. Effect of Toothbrushing Frequency on Incidence and Increment of Dental Caries: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Dent Res. 2016 Oct;95(11):1230-6. doi: 10.1177/0022034516655315. Epub 2016 Jun 22. PMID: 27334438

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